

為替相場を予想する上で、分析する手法は大きく二つに分けられるぞ。

ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析だな。

そのとおりだ。チャートでの値動きを見てさまざまなインジケーターを使って分析するのがテクニカル分析。
一方で、各国の政治的、経済的な状況や金融政策などをもとにどの国の通貨が買われてどの国の通貨が売られるのかを分析するのがファンダメンタルズ分析なんだぜ。
この記事では、ファンダメンタルズ分析について解説していきます。
ポイント
〇 テクニカル分析 ~ 数学を駆使したインジケーターなど使って値動きを分析する手法。
〇 ファンダメンタルズ分析 ~ 世界各国の政治的、経済的な状況や金融政策などを基に通貨の値動きを分析する手法。
ファンダメンタルズ分析の特徴
ファンダメンタルズ分析は、国の政治的、経済的な状況、金融政策などを基に、今後その国の通貨が買われるのか、売られるのかを分析する手法です。
例えば、アメリカが不景気なので政治的に財政出動(要はお金のばらまき)をして、金融政策では金融緩和(利下げや買いオペ)を実施するとします。
財政出動をすると、ドルが市場にたくさん出回ることになるのでドルが売られて安くなります。また金融緩和で利下げをすると、通常は金利の高い通貨が買われるので、同じくドルが売られて安くなります。
このことから、ドル安に移行していくという分析ができるのです。

ただ、その効果はすぐには出ずに、じょじょにゆっくりと表れるというのが特徴です。
ですから、ファンダメンタルズ分析は長期的な通貨の流れを読み取るのに適しています。
また、効果はすぐには現れませんが、実需のお金の流れは確実に効いて来ますから大きなトレンドを形成することになりますのでファンダメンタルに逆行する安易な逆張りは取り返しのつかないことになります。
ファンダメンタルズ分析の特徴
〇 効果はすぐに表れず、徐々に市場に浸透していく。
〇 実需の流れを作り、大きなトレンドを形成する。
ファンダメンタルズ分析の種類 ~ 為替を動かす要因
ここからは、ファンダメンタルズ分析の種類、つまり為替を動かす要因について解説していきます。
金利差
まずは金利差です。
国同士で金利が違えば金利の高い通貨が買われやすいです。
例えばドル金利が5%、円金利が1%だとします。
1ドル100円と考えて下さい。
そうすると、ドル預金する方が金利がたくさんもらえます。
これが金利の高い通貨が買われる要因です。

貿易収支
貿易収支も為替に影響を及ぼします。
相場を動かしているのは、実需と投機です。
この実需と投機については、別記事を参考にして下さい。
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実需と投機~ちがいが分かれば値動きがよく見える
相場には実需と投機という2つの参加者がいる。この2つの特ちょうは全くちがっていて、相場に与えるインパクトもそれぞれだ。これを理解するのとしないのとでは価格変動の予測の精度が大きく変わってくる。
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実需は投機に比べて規模は小さいですが、買い切り玉、売り切り玉です。
投機のように売れば買戻し、買えば売り払いという反対売買はしません。
ですから、規模は小さくとも相場に与える影響が大きいのです。
そして、この実需のなかに輸入や輸出企業による貿易活動があります。
日本でいうと、この貿易収支が赤字なら円安、黒字なら円高へと圧力がかかります。
貿易収支が赤字ということは、輸入業者による円売りドル買い(輸入はドル決済。ドルが必要。)が多くなります。黒字であればその逆です。
ですから、貿易収支も為替に大きく影響を及ぼすことになります。
政策
国や中央銀行の政策も為替に影響を及ぼします。
不景気になれば国は財政出動します。公共工事やヘリコプターマネーなど市場にお金をどんどん流します。
通貨供給量が増えれば、通貨の価値が下がります。需要と供給のバランスですね。
その結果、その通貨は値下がりします。
また、金融政策ではまず利下げが上げられます。
利下げをして、市場がお金を借りやすい状態にします。この後は、金利差のところで触れたとおりです。
また、国債を大量に購入して市場にお金を流します。
反対に景気が良すぎてインフレになれば逆のことをします。
地政学的リスク
地政学的リスクも為替に大きく影響を及ぼします。
地政学的リスクとは戦争や大地震などの災害のことです。
地政学的リスクが発生すると、市場はリスク回避のために資金を回収します。
一般的にその時の動きは、円高、ドル高です。
安定した国の通貨にいったん投資資金を避難させるためです。
ただし、アメリカでの地政学的リスクが起きればドル安となります。9.11のテロ事件の時は大きくドル安に振れました。
また、地政学的リスクによる為替の動きは短期間で終わるという特徴もあります。
為替介入
その他、為替介入も相場に大きく影響を及ぼします。
国の中央銀行が実施する介入なので、その額が半端なく、ドル円で言えば数時間で3~5円動きます。
ちなみに介入は財務省の指示で日銀が行います。
ファンダメンタルズ分析の手法
ファンダメンタルズ分析について理解できたところで、今度は具体的な分析のしかたについて説明します。
経済指標を確認する
毎日発表される、各国の経済指標に目を通すようにします。
基本的に、予想と結果の対比で分析します。
なお、アメリカでは、雇用統計、CPI、GDPが最も注目されている指標です。
金利の動向を確認する
新聞やFX会社のヘッドラインなどで国債の購入状況を確認します。
金利が何%とか出ていますのでそれが上がっているのか、下がっているのか確認します。
ちなみに、国債が買われれば国債の価格は上がりますが、金利は下がります。この点が間違えやすいので注意します。
要人の発言
各国の要人の発言もチェックします。
その国の経済状況が分かりますし、今後取られるであろう金融政策も予想することが出来ます。
まとめ
これまでファンダメンタルズ分析について解説してきました。
ファンダメンタルズ分析は、効果がすぐには出ず、また、特に金利はややこしいところがありますので敬遠されがちです。
しかし、ファンダが分かれば大きなトレンドを掴めます。
テクニカルでは分からない動きもファンダでは納得できることが多くあります。
ですので、じっくりと勉強して、適切な分析が出来るようになる必要があります。